共産主義の遺産
2009年4月4日から19日までの東欧旅行はオーストリアを除いてすべて旧共産国への旅行であった。これらの国々で共産主義の遺産とも言うべきものをたくさん見た。廃墟と化した工場が多い。ガイドの説明では共産党の時代に不要のものを生産していたが、自由化された今ではその工場の買い手がなく放置されているとのこと。また共産主義時代使用されていた機械が旧式であるとか、工場の生産効率が極めて低いなどのため荒れるがままに任されているものもある。このような工場はブルガリアとセルビアに特に多かった。
一方、ブルガリアでは放置されている農場をたくさん見た。畑に生えているのが“wheatか”と訊いたら“weedだ”との回答があった。共産主義時代、生産性などを一切考慮せずに行われていた集団農場制が崩壊したのだ。農薬が買えぬためまたは機械が買えぬため放置されている農場もある。また農民がドイツやスペインに出稼ぎに行ってしまったため百姓のできないところもある。このような農場の買占めが最近始まった。買い手は中国である。
今まで述べたものはすべて共産主義時代の負の遺産である。ブルガリアのある古城で一人の男が溝を掘っていた。彼の周りに男が4人もいて一人の労働者のすることをぼんやり見ているのだ。4人の男は一体何者かとガイドに訊いたら4人は一人の男の監督官だとの返事が返ってきた。ガイドはさらに“これが共産主義の効率性だ”と言ってにやりと笑った。
古枯の木 2009年5月14日記す
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