みかん箱二つ
古枯の木の知り合いのおばあさんで最近92歳で亡くなられた方がある。この方のご主人は大阪大学医学部の教授を長年勤められ、退官後は医院を開業されていたのでかなりの財産があったものと思われる。85歳を過ぎたころみかん箱二つを見せられ、彼女の持ち物全部と全財産がこの中に入っていると告げられた。もっとも印象に残った彼女の言葉は“死人は生きている人間になるべく迷惑をかけるべきではない”であった。
古枯の木は家の中にジャンクの余りにも多いことに気がつき数年前からその整理に追われてきた。おばあさんの生活態度や助言に刺激されたことはいうまでもない。棚や引き出しを空にする運動であり、これを自らカラカラ運動と名づけてきたが、みかん箱二つに収めるのには前途遼遠である。死の直前にはみか箱2個は無理にしてもせめて8個ぐらいには収めたいと考えている。
古枯の木――2009年7月25日記す。
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