核なき世界への決議
2009年9月24日国連の安全保障理事会で各国首脳たちの全会一致で“核兵器のない世界”の実現への決議がなされた。オバマ大統領は歴史的な決議であると自画自賛し、鳩山首相はこれを核軍拡の連鎖を断ち切る道だと賛美した。
この決議は古枯の木によれば世界最大の核保有国であるアメリカが国連という宣伝の場を利用して行った大宣伝、大芝居に過ぎぬ。冷戦を何年続けても核問題は少しも解決されなかった。これが一片の決議で解決されるわけがない。核の廃絶を叫ぶのは単なるイデーの繰り返しで別に目新しいことではない。大体核の廃絶などという最大極限のものはいつも無害のものである。
平和の宣伝はもともとアングロサクソンの18番であった。彼らはこれにより世界の国々を抑えてきた。一方、ロシアもこの点ではときに外交の天才性を発揮する。とくに彼の軍事力が強大なときcomplete disarmament を主張してきた。これはロシアの伝統であり、外交史上有名な事例が3件ある。第1回目は1899年の第1回ハーグ平和会議のときでニコラス2世がcomplete disarmament を提唱した。第2回目は1927年の国際連盟総会でリトビノフ外相が“世界は一つ、平和は一つ”と叫んで完全軍縮を提起した。これは“Litovinoff general disarmament” として有名である。第3回目は1959年9月19日で、このときソ連は軍事力で世界第一と目されていた。フルシチョフが国連総会で原爆の全廃を含むcomplete disarmamentを持ち出し、アイゼンハワーやマクミランの顔色無からしめた。
今回メドベージェフに先を越されることを恐れたオバマが軍事力の世界最強の現在、無用、無害な決議を提起し宣伝効果の大きな大芝居(propaganda mountain)を打ったのだ。オバマが宣伝戦でロシアに勝ったと言い得る。
古枯の木――2009円9月27日
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