同盟は運命共同体ではない
2010年1月29日の日経新聞に元駐米大使、加藤良三の書いた“米国観にゆがみはないか”との論文が掲載されている。いろいろ示唆に富んだものだが、とくに標記の言葉に古枯の木は深い感銘を受けた。
1951年9月に締結された最初の安保条約にはアメリカが日本を防衛するための義務は規定されていなかった。当時の日本は同盟無能力者であり、アメリカがその防衛を担保することを忌避したからである。50年前の改定安保でやっと日本防衛の義務が文書化されたが、文書化されてはいても必ずアメリカが日本を防衛するという保障はどこにもない。世界の国はアメリカを含めて国益を最優先に考えるからだ。友愛なる空疎な言葉に重きを置くのは日本だけであろう。もし日本が北朝鮮の攻撃を受けたとき、アメリカが日本を助けることに利益を見出せば防衛するが、国益なしと判断したときはソッポを向くは理の当然である。多くの日本人は同盟関係にある国とは運命共同体にあると考えがちだがこれは大きな間違いだ。
加藤はさらに続けて語る。同盟の相手国が誰であるかの選択権は日本にあると。フリーハンドは日本にあるのだ。だが次のことを忘れてはならない。日本の防衛費はアメリカと同盟することにより大変安価にすんでいる。たとえば対GNP比で日本の防衛費はわずか0.96%に過ぎない。それに対しアメリカは3.99%、中国はやく4%である。もし鳩山、小沢が同盟国をアメリカから中国に転換すれば中国は日本にたいして防衛費を4%またはそれ以上に引き上げよ、大砲をすべて東に向き変えよと要求してくるであろう。
古枯の木
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