沖縄の帰属問題
古枯の木の学生時代、沖縄から留学生として来ていたK氏がいた。大変頭のいい人で刑事訴訟法を勉強して後にO大学の教授になった。当時の沖縄はアメリカ軍の占領下にあったが、あるとき彼が驚くべきことを告白した。沖縄人の多くは沖縄が中国に帰属しようが日本に帰属しようがどちらでも構わないということだった。これは晴天の霹靂でありまったくたまげた。
日本人のほぼ全員は沖縄は当然日本の領土の一部と考えているようだが、沖縄人の間では反日感情は当時けっこう強かったというのだ。沖縄は薩摩藩に租税を収めていたが、同時に中国には朝貢して中国を宗主国と看做す人が多かった。明治政府の沖縄蔑視の態度、太平洋戦争末期の沖縄戦のときの日本陸軍の卑劣な行動(沖縄島民を日本兵防護のための盾とした)からして日本によからぬ感情が強かったという。とくにこの悪感情は敗戦の日が近づくと強くなったと聞いた・
現在の沖縄島民の対日感情は知らぬ。だがここで注意しなければならないことがある。戦争の口実はいつの時代でも戦争を行わんとする国に都合のよいように作られてきた。ある日、中国が沖縄島民の解放のためと称して沖縄に侵略を始めるかもしれない。すると沖縄島民の一部の者たちが中国軍を解放軍として迎え入れる可能性なきにしもあらずである。
古枯の木―2010年7月28日記す。
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