外交の基本姿勢
外交の基礎概念はパワーと国益である。ではその基本的態度や姿勢はいかにあるべきか。19世紀初頭の外交家パーマストン(Palmerstone)は“イギリスにとり永久の友はなし、永久の敵もなし、ただあるは永久の利益のみ”(England has no eternal friendships, no enmities, but eternal interest.)と道破した。イギリスはヨーロッパ大陸でいつも最強となる国と対峙してうまく大陸の勢力均衡を維持してその光輝ある孤立を保持してきた。かつてはスペイン、オランダ、フランスそして2度までドイツと矛を交えた。ここにイギリスの持つ狡猾な怜悧さをみることができる。
アメリカの元国務長官でハーバード大学の教授であったキッシンジャーはその著“Diplomacy”の冒頭で外交とは冷徹なパワーの計算にもとずいて国益を追求することであると述べている。
パーマーストンの外交の基本姿勢はイギリスのみでなくあらゆる国の外交に適用される大原則であらねばならぬ。味方はいつまでも味方であるわけがないし、反対に敵がいつまでも敵であるわけがない。日本外交には主体性が欠け、淡白でしたたかさも無い。謹厳実直、律儀、友愛力のみでは外交は行えない。早く対米追従外交と対中土下座外交は改めるべきだ。アメリカが日本にとり永久の友であるという保障はどこにもないことを銘記すべきである。
古枯の木-2010年8月23日記す。
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