2009年1月30日金曜日

アメリカドッキリ物語 7

アメリカ・ドッキリ物語 (7)


                    古枯の木

Japanese Indians

去年の秋、アリゾナ州のインディアン居留区(reservation)の一つを訪問した。そのときある店のインディアンの老婆からニューメキシコ州に自他共に日本人の末裔であるといわれるインディアンの存在することを教えられた。このインディアンをズーニー(Zuni)と呼ぶ。ズーニーはGallupという人口2万人の比較的大きな町の南方35マイルの地点におり、人口は6千人。部族の団結力が強く、男性は非常に勤勉で他のインディアンとは異なり酒は飲まないという。女性は日本人と同様手先が大変器用で彼女らが葦を材料に織るバスケットは水を漏らさぬというし、彼女らの作る銀とトルコ石の装身具は日本的に極めて精巧で他のインディアンの追随を許さぬそうだ。値引きは絶対に不可能とのこと。日本人がアリューシャン列島やアラスカを経由してアメリカにやって来たという説があるが、こんなに具体的にJapanese Indians の存在を聞かされたのは初めてでこれも一つのドッキリだった。

 早速図書館に行き、ズーニーインディアンの特色を調査した。次にそれを箇条書きにするが果たして日本人との共通点はあるだろうか。

1. 太陽を神を崇め、酋長が絶対的権力を有する。
2. ズーニーは孤立性が極めて強く、その言語は他の種族の言語とまったく類似性がない。インディアンに共通語は存在しないが、それでも例えばホッピー族の話す言葉はアパッチーに対しで30%は通じる。他の70%はダンスによった。ところがズーニーの言葉は100%他の種族には通じない。
3. 南米のインディオと異なりインディアンは農耕をまったく知らなかったが、ズーニーだけはコーンの栽培を知っていた。この点彼らは農耕民族である。
4. 争いを好まず、他の種族特に好戦的なアパッチーやナバホとの交渉を意識的に避けてきた。部族内では和の精神を大切にしている。一方、積極性と自己主張に欠ける恨みがある。
5. 儀式が好きで、動物の超能力を信ずる。
6. 他のインディアンと異なり男がマスクを着けてダンスする。
7. 世界的なマラソン走者を輩出している。

 だが読んだ本の中でズーニーが日本人の末裔であるという記述はなかった。インディアンの居留区には彼らの政府、憲法、法律がある。ズーニーもその例外ではない。ただズーニー政府は非常に保守的でカメラ、ビデオの持ち込みを許さず、風景をスケッチしたり村を散歩するにも許可がいる。本年春にはズーニー族の町を訪問する予定だが、事前にズーニー政府に連絡して、当方の目的を告げ、極力協力してもらうつもりでいる。

古枯の木―在米35年、歴史愛好家、著書に『ゴールドラッシュ物語』『アメリカ意外史』など)

 

0 件のコメント:

コメントを投稿